現役世代は明らかにハードモード
貯金の利息が低いことは誰でも知っていますよね。
少子高齢化や年金問題など、将来が厳しいことも肌で感じていると思います。
給料が思ったよりも上がっていない事も、ほとんどの人が不満に思っていると思います。
給料が年齢に応じて上昇すると、大半の人は信じていますが、一方で終身雇用の崩壊など不穏なニュースも見かけます。
それでも大半の人は、平均年収は少しくらい上昇していると思っていますが、実際はほとんど上がっていません。
つまり、収入面で明るい材料は無い、というのが現状です。
今、労働の中核を担っている現役世代から見ると、親の世代と比べて明らかにハードモードです。
便利になって無料サービスもいっぱい。 でもなぜか支出は増えてる?
では、支出面はどうでしょう?
昔に比べて物価が上昇していることは、誰でも知っていますよね。
激安になって買いやすくなったものもありますが、その一方で必要な物の数が多くなりました。
スマホとか便利グッズとか欲しいじゃないですか。いや欲しいとかいうレベルではなく、必須レベルですよね。
世の中が色々なサービスによって便利になっていきます。
無料サービスも数多く利用していますが、なぜか支出は増えていきます。
総じて、支出は増えています。減ったと感じている人は稀なケースでしょう。
「減らない貯金」は、安全ではない
収入は増えず、支出は増える。
この現状にありながら、貯金通帳の残高が減っていない事を確認して、なぜか安心しているのが私たちです。
分かりやすい数字を見て安心してしまうから、相対的に見なければならない、という大事なことを忘れてしまうのでしょう。
「支出が増える」ということは、相対的に見ると「収入が減る」ということです。
「物価が上がる」ということは、相対的に見ると「貯金が目減りする」ということです。
「減らない貯金」は、安全ではないのです。
警告と荒療治
ひと昔前は「物価も支出も増えるが、貯金も収入も増える」という時代だから、何の問題もありませんでした。
しかし、今は違います。
「老後2千万円不足問題」は警告です。
政府が口を滑らせて話題を作った、というような一過性のものではありません。
貧富をひとまとめにした算出方法だったので、多くの人にとっては適切な数字ではありませんでしたが、
それに近い危機的状況であることは確かなのです。
私は、この話題を政府の「広報ミス」ではなく、「荒療治」だと思っています。
私にはこう聞こえます
なぜ、NISAやiDeCoといった優遇措置が設けられたのでしょうか?
NISAやiDeCoは「資産運用で稼いでも税金を取らない、あるいは減らす」という制度です。
つまり、政府はこう言っているのです。
「税金を使ってでも税金を減らす措置を取るから、資産運用に目を向けてくれ」
更に続けて、私にはこう聞こえます。
「今のままではマズいんだ。頼むから”資産運用=悪いこと”という認識を捨ててくれ」
「義務教育に金融や資産運用の勉強を入れなかったのはマジすまんかった」
「日本の経済成長のために必要だった。まじめなサラリーマンをジャンジャン育てるために必要だったんだ……」
私も批判する気はありません。
事実、高度経済成長と、強い日本企業を生み出したのは、サラリーマンが(資産運用など)脇目も振らずにガムシャラに働いた結果でしょう。
日本人の気質にもマッチしていました。
しかし、時代は変わりました。
気付いている人も多いのに、言えない事情が。
この時代は、少し日本人の気質にマッチしない時代かもしれません。
資産運用の事を「お金でお金儲けする汚い事」という認識が未だに根強いです。
「大失敗した話を聞いた。絶対手を出しちゃダメ」
そんな事実もあるでしょう。
しかし、だからと言って目を背けるだけでは、学ぶこともできません。
こんな風潮の中では、政治家も「正しく資産運用しましょう」とか軽々しく言えなのでしょう。
大半の選挙権を握っている中高齢者層を敵に回すわけにはいきませんからね。
そんな中で、危機的状況を知りながら悶々と仕事している官僚が焦って
「2000万も足らねーんだ」と口走ってしまってもおかしくありません。
内情に気付いているマスコミが、これ幸いとクローズアップして報じるのも納得です。
あなたもカモネギ。私もカモネギ。
しかし、困ったことに、資産運用は簡単じゃない。
大失敗の例も実在するし、そもそも基礎知識がゼロ、というのが大問題です。
金融のプロでさえ苦労する世界です。
彼らも本当は、自身の会社も儲かって、お客様も儲かる、そんな商売がしたいはずです。
しかし、現状は厳しく、どうにかこうにか会社の利益を確保しているが、お客様みんなを儲けさせることはできていない。
そんな世界で、金融知識ゼロで資産運用を始めるなんて、恐ろしすぎます。
その意味では「絶対手を出しちゃダメ」という言葉も否定しきれません。
「退職金の使い道を考えて銀行や証券会社に行く」これぞ、正しく「カモネギ」の姿です。
金融知識ゼロのカモが、大量のネギを抱えて、金融知識で商売している商人の下へノコノコと歩いていくという図式です。
知っている人からしたら、どれほど滑稽な姿でしょうか。
私も最近になってから金融や資産運用の勉強を始めました。
そして愕然としたんです。
今まで、あまりにも知らな過ぎました。
運良くマネーリテラシーの高いパートナーと巡り合えれば、何も気づかないまま救われたかもしれません。
しかし、運が悪ければ、一人のままかもしれません。
巡り合えたとしても、夫婦そろってアホなままかもしれません。
そして、金融知識を得ないまま労働世代を終えてしまったら?
あるいは、職を無くしたり早期退職などしようものなら?
カモネギ一直線でしょ。少ない退職金を抱えて。
「貯金も退職金も少ないですし、運用で増やすしかありませんね。大丈夫です。
今ならお得なスーパー〇〇特約の〇〇運用プランで……」
とかいって
証券会社のおねーさんにきれいに丸め込まれるんでしょうね。
金融知識ゼロ。これを何とかしないと、多少稼いだところで後悔は目に見えている。
仮に、まとまった退職金を手にしても安心とは言えません。
年金問題や低金利など、ニュースなどで中途半端な知識を刷り込まれているので「全額貯金で良し」とは思わないでしょう。
すると、良くても半分、あるいは数年かけてほとんどの貯金を、流されるままに適当な投資先に投じて、という可能性が高いです。
その途中で不安が膨らみ、遅ればせながら金融や投資について学び、ヘタな投資をしてしまったことに気付きつつも、
更に余計な投資に手を出し、結果大金を失いながら慌てて、更に泥沼に…
まとまった退職金を持っていると、判断がおかしなことになります。
持っていなければ100万も投じなかったところを、持っていたばっかりに退職金の半分くらいは良いよね?
とか考えて大金を投じてしまう。
100%、カモネギ。間違いない。
結論:金融知識ゼロ。これを何とかしないと後悔では済まない。
「資産運用は少額から始めよ」「聞いてる?」「だから少額からだって!」「何で聞かないの~!?」
金融知識を多少学ぶと、資産運用は小さな失敗も含めて少しずつ学んでいかなければならないものだと、気づかされます。
そこに至って、ようやくもう一つ気付きます。
世にある数々のアドバイス、どこにでも書いてあるんです。
「少額から始めよ」と。
ちゃんと読んでました。
理解もしてたはずです。
でも、身に付いてはいなかったんです。
だって、「戒め」と共に「効果」も学ぶから。
元本が大きければ大きいほど運用益も大きくなる、って理解しちゃうから。
目が曇っちゃうんですかね。
少額で始めるのが良いと分かっていても「比較的少なめで」と言いつつ、
「自分なりの最大額から」適当な割合を算出して満足し、
結果、身の丈に合っていない大きな額だと言うことに気付かず、投じてしまうんです。
投資に大事なのは「欲に負けないこと」。 でも、そんなことを言っている内は、まだまだ。
資産が少ないうちから投資を始めた場合、手元に余裕資金が少ないので、必然的に投資額が小さくなります。
失敗しても、キズは小さく済みます。
そんな中で、必要に駆られて学び直し、ようやくアドバイスの本質に気付き、投資の仕方を改め、継続的な利益を出せるようになります。
「少額から始めよ」といろいろなところに書いてあります。
でも、それを守れない。人の欲がそうさせるのですね……
私は金銭欲が少ない方だと思っていました。
中には「どの様に失敗するか」という落とし穴について触れている本もありました。
「結局は欲に負けるのだ」という教えです。
ここで言う「欲」は、「もっと得をしたい」という欲だけでなく、「これ以上損したくない」という欲も含まれます。
「これ以上損したくない」という欲は、言い換えれば恐怖です。
資産運用において、投資対象の評価額は時に大きく上下します。
大きく下がった時、資産の額面が大きくマイナス表示されるのです。
資産を増やすつもりだったのに、大きくマイナスに傾いた額面を見ると、不安と恐怖に苛まれることになります。
「更に下落したら、一体どこまで減るのか」とか。
「かといって、手放した途端に元に戻ったとしたら、大損だ」とか。
そうして揺さぶられていると、損害が膨らむばかりです。
投資を学び、経験し、更に学び直した今なら分かります。
そんな欲や恐怖と戦う様な投資の仕方をやっているから、ダメなのです。
手放さないで済むようにしましょう
評価額が大きく下がった時のマイナス額を「含み損」と言います。
これは、「現在の損失」という意味ではなく、「ここで手放した場合の損失」を表しているため、
「損失」ではなく「含み損」と言うのです。
つまり、手放さなければ良いのです。
手放さず、上昇するまで待てば、損失どころか利益になります。
しかし、限界まで下がってしまった場合、強制的に手放すしかなくなる場合もあります。
何より、恐怖に勝てません。
では、どうすればよいか。
答えは意外と簡単です。
手放さないで済むようにすれば良いのです。
「一時的に下がっても、長期で見れば必ず成長する」と言える様な投資先に投資する、とか。
「多少下がっても、後で上がってくれれば、まったく問題無い」と言える様に小さく分けた資金を投資する、とか。
要は、慌てて手放さないで済む様な、計画や見込みを立てて、投資に臨むのです。
人に薦められたり、評判の良い投資先に投資する場合は、計画や見込みを立てることを忘れがちです。
また、「少額だから」「積み立てだから」とそれだけを頼りに安心感を得て、
うっかり、計画や見込みを立てずに続けてしまうのも失敗の元です。
どこに投資するにしても、どのくらいの額面をどのくらいの期間投資し、リスク(含み損)はここまで許容できる、
というところまで明言できなければ、計画も見込みも立てたとは言えません。
人のおススメに従っている内は、この数字が出せません。
当然です。
適切な数字は人それぞれ異なるのですから。
資産や仕事、家族や将来設計など多くの条件によって変わってくるのです。
計画に加えるエッセンス
計画や見込みが立てば万事OKか、というとそうでもありません。
予想を上回る値動きで計画が破綻する可能性もあれば、想定外の事象により見込みを大きく外してしまう可能性だってあります。
そんな時に備えて、少額にするのです。
例えば、リーマンショックやコロナショックの様な大きな渦に巻き込まれ、計画が破綻してしまうケースが10年に1回くらいあったとします。
破綻により、投資額の50%が失われたとしましょう。
しかし、それ以外の9年で投資額が200%に成長していたならば、問題ありません。
そして、その投資額が、実は資産の10%であるならば、心が揺らぐこともありません。
逆に、その投資額が、実は資産の全てだとするならば、もはや平常心でもって判断する事すらかなわないでしょう。
計画や見込みを立てた上で、少額投資する。
これが答えです。